背骨のはなし
●背骨のしくみ@ 〜体の支えとして〜
人間を含めて哺乳類の背骨の数は決まっていて,頚椎が7個,胸椎が12個,腰椎が5個,それ
に仙骨と尾骨がくっついています.ですからキリンはあんなに首が長くても頚椎は人間と同じ7
個しかありません.背骨は専門的には脊椎といい,その一連のつながりを脊柱といいます。脊柱
は体の支えとしての中心構造物でありまさに『屋台骨』です.ですから脊椎は東京タワーと同じ
で上から下に行くに従って大きくなっており,その連なりを支えるべく脊柱のまわりにはたくさ
んの筋肉が付着しています.また脊柱はダルマ落としの様に脊椎が積み重なったものですが,そ
れぞれの脊椎と脊椎の間には椎間板という軟骨のクッションが挟まっています.この椎間板によ
って脊柱はしなやかに動くことができるのです.椎間板は自動車のタイヤに似た構造をしてお
り,つまり周囲にはゴムタイヤに相当する強いリングがあり,中心部にはホイールに相当する弾
力のある核があります.この核は髄核と言われ若いうちは十分な水分を含みしなやかな状態です
が,年齢と共に水分が失われ弾力を失い新品の布団が徐々にせんべい布団になっていくようにつ
ぶれてきます.椎間板が原因で起こる病気に有名な椎間板ヘルニアというのがありますが,これ
は椎間板が本来収まっているところから飛び出してすぐ脇を通っている神経を圧迫して症状をだ
すものです。若いうちはタイヤの一部がパンクして中の核が飛び出すタイプが多く,いわゆるぎ
っくり腰や急性の坐骨神経痛の原因になります。中高年以降ではパンクしないままタイヤ全体が
徐々に押しつぶされサンドウイッチの具がはみ出すように飛び出していることが多く症状も段階
的に出てきます.また椎間板や脊柱を支えている靭帯(骨同士をつなぎとめておくテープのよう
な役割)が傷んでくると骨同士の連結が弱くなりズレが起こるようになってきます.この状態を
不安定性脊椎症とか脊椎すべり症と言います.いずれの病気も首や腰の痛み,手足の痛みやしび
れ,運動障害などさまざまな症状を引き起こします.病気があるところまで進行してしまうと手
術を考慮することになりますが,軽いうちに対処を始めることで重症化の予防や進行を遅らせる
ことが可能です。


●背骨のしくみA 〜神経の通り道として〜
背骨には上で述べたからだの支えとしての役割のほかに神経の通り道としての重要な役割があり
ます.すなわち脊椎の後方には脊椎管という骨のトンネルがあり,その中を神経(脊髄)が通っ
ているのです.脳と同じく脊髄も大変弱い組織ですので骨の器に守られているといった具合で
す.ところが本来神経の防護壁であるこの脊椎管が病気で狭くなることがあり,こうなると神経
を守るどころか逆に神経を圧迫して症状を引き起こすことがあります.脊椎管が狭くなる原因の
代表的なものは,上で述べた椎間板ヘルニアや変形性脊椎症などトンネルの外から何かが飛び出
してくるものであり,また,不安定性脊椎症やすべり症などでも隣接する管同士がずれることに
より通り道が狭められます.その他,このトンネルの壁には靭帯が張り付いているのですが,こ
の靭帯が一部分分厚くなったり,靭帯に石のような石灰分が沈着して塊をなしトンネルを狭める
病気(脊柱管狭窄症,靭帯骨化症など)もあります。また余談ですが,頚椎に限っては神経だけ
でなく血管(椎骨動脈)の通り道にもなっています.ですから神経と同じように病気によっては
血管が圧迫され,頚椎性のめまいや失神を起こすことがあります.


的確な治療はまず正確な診断から.思い当たる症状をお持ちの方はご相談下さい.

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