くも膜下出血は怖い
俗に『くも膜下』あるいは『くも膜下出血』と呼ばれる病気はいったいどのような病気なのでしょう?まず『くも膜』の説明からいきましょう。頭の構造はよく『ゆで卵』にたとえられます。まず殻に相当する頭蓋骨があり白身に相当する脳があります。ゆで卵にはその間に薄皮がありますが頭にも頭蓋骨と脳の間に薄い膜がありそれを『くも膜』と呼んでいます。『くも膜下出血』はその下の出血というわけですから、脳とくも膜の間に広がる出血になります。普通このくも膜の下のスペースには無色透明な髄液が流れています。また脳を栄養している血管網もこのスペースに存在します。では出血はどこから起こるのでしょうか?当然血管から起こるわけですが普通の血管が突然切れて出血を起こすようなことはありません。脳の血管が枝分かれをする部分に瘤ができてその瘤が破裂して出血が起こるのです。お餅を焼くとプクーっと膨れたあとパチンとはじけますがまさにああいう感じで血管の一部が膨れ破裂して出血が起こるわけです。さて一旦出血すると大変です。出血の勢いが強かったり場所が悪いと急激に脳が強いダメージを受け救急車が到着する前に命を落としてしまうこともあります。軽い場合でも今までに経験したことのないような激しい頭痛に襲われるのが普通です。くも膜下出血の治療の第一歩は出血源の止血ですので、何とか病院にたどり着けた方は血管の検査を受け出血源を特定した上で手術になります。手術は、脳の隙間を分け入り瘤に到達しクリップと呼ばれる小さな器具で瘤の首根っこをつまんで出血源を処置してくるものです。口で言うのは簡単ですが脳外科で行う手術の中では最も難しい手術の一つになります。さて手術で出血減の処置が無事終わったら、あとは順調に回復を待つだけ、というわけにはいかないのです。第二のハードルが待ち構えており、これがくも膜下出血が怖い病気であるもう一つの理由です。手術では出血源の処置はできますがすでに出てしまった出血まですべて掃除してくることはできません。この出てしまった出血がくせものなのです。血管の外に一旦出てしまった血液はもはやゴミでしかありません。分解され掃除されます。この処理中にできる分解産物が血管にとっては大変な毒なのです。この毒によって血管が刺激を受け局所的に強い狭窄を起こし場合によっては広範囲に脳梗塞を起こしこれによって命を落とされる方も少なくありません。残念ながら詳細なメカニズムや有効な治療薬はまだ不明です。
まだいろいろな合併症がありますが、とにかく出血源と成り得る動脈瘤を事前に発見し破裂する前に処置することができれば合併症や死の危険を少しでも減らすことができるのです。もちろん治療に伴う危険も皆無とはいえませんので十分な納得の上で治療を受ける必要があることは言うまでもありません。
当院では脳ドックを施行し、くも膜下出血のみならず多くの脳疾患を未然にあるいは初期に発見し早期治療ならびに発症前予防できるよう努めております。

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